ユーミンのオリジナルアルバム


ひこうき雲/荒井由実(1973)

 「ひこうき雲」「ベルベット・イースター」等を収録したユーミンのファーストアルバム。瑞々しい感性が凝縮された1枚で、10代のユーミンだからこそ表現できた作品。50年経過した今もまったく古びることのない日本の宝。

 

 



MISSLIM/荒井由実(1974)

 タイトルは「MISS SLIM(ミス・スリム)」を短縮させた造語。「やさしさに包まれたなら」「海を見ていた午後」等の人気曲を収録しているが、発売当時のユーミンは、まだ知る人ぞ知る存在だった。

 



COBALT HOUR/荒井由実(1975)

オリコンの最高位2位を獲得した、ユーミンの出世作。「ルージュの伝言」「卒業写真」「雨のステイション」といった代表曲を収録。アルバムタイトルは「HOLIDAY IN MUSIC」という案もあったそう。

 



14番目の月/荒井由実(1976)

荒井由実のラストアルバム。代表曲「中央フリーウェイ」を収録。「suburb(郊外)の光と影」がコンセプトになっており、都会から少し離れた場所にテーマを求めたユーミンならではのセンスが光る名盤。オリジナルアルバムとしては初の1位を獲得。

 



紅雀/松任谷由実(1978)

松任谷由実に改名して最初のアルバムは、それまでのファンをふるい落としにかかったかのような渋いアルバムに。ジョビンのサウンドのような世界を表現したかったそうだが、このアルバムのファンは意外に多い。

 



流線形’80/松任谷由実(1978)

松任谷由実になってからのポップスをやろうと意図して制作されたアルバム。コンサートの定番曲「埠頭を渡る風」を収録。クリスマス、サーフィン、ドライブ、湘南、不倫まで、来るべき80年代を予言していたかのようなワードが随所にちりばめられている。

 



OLIVE/松任谷由実(1979)

ユーミン自身がジャケットのスタイリングを手がけた、イタリアンヴォーグ的アートワーク。人気曲「青いエアメイル」や、松任谷版「卒業写真」とも呼べそうな「最後の春休み」等、収録。「りんごの匂いと風の国」にハローウィンというワードが出てくるが、当時の日本人にはまったく馴染みのないイベントだった。

 



悲しいほどお天気/松任谷由実(1979)

松任谷由実、初期の最高傑作と呼ばれる名盤。ユーミンいわく「私小説風アルバム」だそう。定番曲「DESTINY」の他、「緑の町に舞い降りて」は最新ベストアルバム「ユーミン万歳!」に収録された人気曲。

 



時のないホテル/松任谷由実(1980)

ジャケットやブックレットの写真はロンドンのブラウンズホテルで撮影。「セシルの週末」「5cmの向こう岸」「水の影」「よそゆき顔で」等の人気曲を収録。全体的に重いサウンドで構成されているが、ユーミンの描く詞の世界がより際立って聞こえる名盤。松原正樹のギターソロも聴きどころ。

 



SURF&SNOW/松任谷由実(1980)

ユーミンの代表作とも呼べる「リゾート」をコンセプトにしたアルバム。「恋人がサンタクロース」「サーフ天国、スキー天国」等の人気曲を収録。 A面が「サーフサイド」、B面が「スノウサイド」となっており、アルバムの発売の数か月後に苗場のコンサートが開始している。

 



水の中のアジアへ/松任谷由実(1981)

当時、まだ誰も目を向けていなかったアジアをコンセプトにした4曲入りアルバム。インドネシア、香港、シンガーポール、大連を舞台に、ユーミンの美意識が封じ込められた名盤。ジャケットはラッフルズホテルで撮影。「HONG KONG NIGHT SIGHT」は松任谷正隆、「大連慕情」は萩尾みどりへの提供曲。

 



昨晩お会いしましょう/松任谷由実(1981)

大ヒット曲「守ってあげたい」の影響で、第2次ユーミンブームが到来。人気曲「カンナ8号線」「A HAPPY NEW YEAR」を収録。このアルバムから17作連続でオリコンアルバムチャートの1位を獲得することになる。

 



PEARL PIEACE/松任谷由実(1982)

本作をベストアルバムに挙げる人も多い、ユーミンの夏の名盤。恋人の部屋のベッドの下にピアスを片方捨てるシチュエーションで、多くの女性たちが泣いた「真珠のピアス」他、「夕涼み」「DANG DANG」等の人気曲を収録。ブックレットのイラストは安西水丸。

 



REINCERNATION/松任谷由実(1983)

肉体は滅びても魂は生まれ変わるという「輪廻」という仏教用語をタイトルに封じ込めたオリジナル。ドライブソングの定番曲「星空の誘惑」はベストアルバム「ユーミン万歳!」に収録。「NIGHT WALKER」が人気曲。

 



VOYAGER/松任谷由実(1983)

「昨晩お会いしましょう」に続き、イギリスのアート集団「ピプノシス」が手がけたジャケット。「ダンデライオン」「時をかける少女」の他、「ガールフレンズ」「ハートブレイク」といった人気曲も収録。「不思議な体験」は当時、ニッカウィスキーのCMソングに起用され話題に。

 



NO SIDE/松任谷由実(1984)

ロサンゼルスオリンピックが行われた1984年の冬に発売されたアルバム。当時のラグビーブームも相まって「ノーサイド」が話題に。人気曲「DOWN TOWN BOY」、苗場の定番曲「BLIZZARD」やシャングリラのテーマソングになった「SHANGLILAをめざせ」等収録。

 



DA・DI・DA/松任谷由実(1985)

シングル「メトロポリスの片隅で」、コンサートの定番曲「青春のリグレット」を収録したオリジナル。タイトルの「DA・DI・DA」は「もう愛は始まらない」のコーラス部分のフレーズ。「シンデレラ エクスプレス」は、日曜日の大阪行きの最終の新幹線ホームで別れを惜しむ遠距離恋愛の恋人達を描いた人気曲。

 



ALARM a la mode/松任谷由実(1986)

タイトルは「オシャレな警告」という意味の造語。「サスペンス」がコンセプトになっており、元々「シャレード」というタイトル案もあったそう。ひょうきん族のテーマソング「土曜日は大キライ」、人気曲「Autumn Park」を収録。「ホライズンを追いかけて〜L'aventure au désert」は「ユーミン万歳!」に収録された。

 



ダイアモンドダストが消えぬまに/松任谷由実(1987)

タイトル曲「ダイアモンドダストが消えぬまに」はベストアルバムには必ず収録される人気曲。シンクラヴィアで制作されたサウンドは、当時のユーミンの無機質な声に似合っていた。シングル「SWEET DREAMS」や人気バラード「霧雨で見えない」収録。

 



Delight Slight Light Kiss/松任谷由実(1988)

前作から始まった「純愛3部作」の第2弾アルバム。同時期に大ヒットした村上春樹の「ノルウェイの森」と共に純愛がブームに。「リフレインが叫んでいる」が有線放送で大ヒットになり、日本人初のCDのミリオンセラーを記録した。寸分の狂いもないデジタルサウンドが特徴の1枚で、年間チャートの1位を獲得。

 



LOVE WARS/松任谷由実(1989)

日本人初の200万枚を突破したメガヒットアルバム。テーマは「恋の任侠」。シングルヒットになった「ANNIVERSARY」や「WANDERERS」「心ほどいて」等の人気曲を収録。年間チャートの1位を獲得。

 



天国のドア/松任谷由実(1990)

3年連続で年間チャートの1位を獲得したメガヒットアルバム。「満月のフォーチューン」や「残暑」は、のちのワールドミュージックサウンドを予感させるエスニックなアレンジ。

 



DAWN PURPLE/松任谷由実(1991)

初動の売り上げがミリオンセラーになった、ヒットアルバム。テーマは「セカンドバースデー」。「Happy Birthday To You~ヴィーナスの誕生~」はコンサートの定番曲。キリンラガーのCMソング「情熱に届かない〜Don't Let Me Go」は、「ユーミン万歳!」に収録された。

 



TEARS AND REASONS/松任谷由実(1992)

世界初の「ヴァーチャルオーディオシステム」を使用してレコーディングされたアルバム。キリンラガーのCMソング「無限の中の一度」、人気曲「冬の終わり」を収録。

 



U-miz/松任谷由実(1993)

4年ぶりのシングル「真夏の夜の夢」がユーミン最大のヒット曲に。「サイケデリック」をコンセプト制作されたアルバムだが、若干迷いが感じられる。R&Bアレンジの「この愛に振り向いて」が泣けるバラード。

 



THE DANCING SUN/松任谷由実(1994)

「Hello,my friend」「春よ、来い」の2大ヒット曲を収録した、オリジナルアルバムとしては、キャリア最大のヒットアルバムに。ドラマの主題歌になった「砂の惑星」収録。ジャケットのアートワークは横尾忠則。

 



KATMANDU/松任谷由実(1995)

「心の聖地」をコンセプトに制作されたオリジナルアルバム。タイトルは「カトマンズ」ではなく「カトマンドゥ」と読む、ワールドミュージックのエッセンスたっぷりのアルバム。大ヒット曲「輪舞曲」、発売中止になったシングル「命の花」収録。

 



Cowgirl Dreamin’/松任谷由実(1997)

1983年の「VOYAGER」から始まった年末の風物詩も前作で終了し、本作は2月の発売に。自身を都会のカウガールに見立てた、ロックテイストたっぷりの「Cowgirl Blues」はコンサートの定番曲。シングル「最後の嘘」の他、企画ものだった荒井由実「まちぶせ」を収録。

 



スユアの波/松任谷由実(1997)

アルバムのコンセプトは「時空のサーファー」。シングル「Sunny day Holiday」他、「時をかける少女」の歌詞をそのまま別のメロディーをつけた「時のカンツォーネ」を収録。

 



Frozen Roses/松任谷由実(1999)

前年に発売された松任谷由実初のベストアルバムが350万枚の大ヒットに。この年から「シャングリラ」が開始しており、活動のシフトに変化が見られた。このアルバムのツアーで初めてカウントダウンコンサートを行っている。ジャケットのイラストは大橋歩。

 



acacia/松任谷由実(2001)

タイトルは「アカシックレコード」がモチーフになっており、「acacia(アカシア)」の歌詞にある「懐かしすぎる未来」がキーワードに。シングル「幸せになるために 」「7 TRUTHS 7 LIES〜ヴァージンロードの彼方で」を収録。このアルバムのツアーは香港でも開催された。

 



Wings of Winter,Shades of Summer/松任谷由実(2002)

前作がキャリア初の14曲入りだったが、その反動で7曲入りアルバムに。「SURF&SNOW vol.2」として制作に入ったがリゾートの概念が変わったため、「脳内リゾート」 がコンセプトになった。冬の曲4曲、夏の曲3曲という構成。

 



VIVA 6×7/松任谷由実(2004)

タイトルの読み方は「ビバ シックス バイ セブン」 。撮影用のフィルムのサイズから来ているそう。ミッシェル・ルグラン風の「恋の苦さとため息と」や、映画の主題歌「永遠が見える日」等の隠れた名曲収録。

 



A GIRL IN SUMMER/松任谷由実(2006)

5年ぶりの夏時期の発売になった、ユーミン流サーフアルバム。「海に来て」はAORアレンジが冴える人気曲。シングルとして発売された「ついてゆくわ」はアルバム用に歌詞が書き換えられている。紅白歌合戦で歌われた「Smile Again」のユーミンバージョンも収録。

 



そしてもう一度夢見るだろう/松任谷由実(2009)

「シャングリラ3」が終了し、ユーミンの新たな決意を感じるタイトル。「シャングリラ3」のテーマソングとなった「人魚姫の夢」、加藤和彦とのデュエットソング「黄色いロールスロイス」を収録。「夜空でつながっている」は隠れた名曲。

 



Road Show/松任谷由実(2011)

タイトル通り、映画をモチーフにしたオシャレな雰囲気漂うアルバム。このアルバムの発売の前月に「東日本大震災」が発生した影響で、アルバムの発売が1週間延期に。2010年代の代表曲「ダンスのように抱き寄せたい」他、保険会社のCMソング「バトンリレー」は感動の1曲。

 



POP CLASSICO/松任谷由実(2013)

前年にデビュー40周年を迎え、ベストアルバムがミリオンセラーを記録。その翌年に発売されたオリジナルアルバムが本作。大きなヒット曲が収録されているわけではないが、どの曲も丁寧に制作されている会心作。

 



宇宙図書館/松任谷由実(2016)

1997年以来、19年ぶりに1位を獲得したオリジナルアルバムは、内容も含めて充実のクオリティ。 オープニングの「宇宙図書館」とラストの「GRAY」は対のような関係になっており、失くした人を慈しむ名曲に。ちなみに「GRAY」は1987年に小林麻美に提供した曲のセルフカヴァー。

 



深海の街/松任谷由実(2020)

世界中を苦しめたコロナ禍の爪痕を2020年中に残しておきたいというユーミンの考えから、自宅のスタジオで制作されたアルバム。「深海の街」はコロナ前に発表されていた曲だが、すでにコロナ禍を予言していたかのような内容になっている。ジャケットはSURF&SNOWから40年目のオマージュ。人気曲「雪の道しるべ」を収録。

 



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